■医学生・研修医のための
腫瘍内科セミナー(MOS2025 in Summer)
報告
セミナー報告 Eグループ
本セミナーは、がん薬物療法に関する講義、様々なキャリアを歩まれてきた先生方によるパネルディスカッション、そして2日間にわたるグループワークなど、多彩な構成で実施されました.特に、実際のがんサバイバーの方による講演は強く印象に残りました。
臨床現場に出てからは、医学的知識と同等かそれ以上に、医師と患者とのコミュニケーションの難しさを痛感する機会が増えています。その中で、講演にあった「言えない/癒えない」というキーワードは心に深く残りました。医師の前向きな言葉が、時に患者の不安や本音を口にしづらくさせることがある、というお話にハッとさせられました。人生の最終段階に関わることも多い腫瘍内科の診療では、繊細な配慮と高度なコミュニケーション能力が不可欠であることを改めて認識しました。多忙な現場で限られた時間の中でも、いかに信頼関係を築き、本音を引き出せるかーー今後、多くの患者さんと向き合う中で、試行錯誤を続けていきたいと思います。


今回のグループワークでは、患者背景を一から設定する形式が採用されました。名前や性格、生活環境から、がんの種類や臨床経過まで、想像力を働かせながら構築していく作業は、これまで参加してきたセミナーにはない新鮮な体験でした。我々Eグループでは、患者の性格や治療に対する思いについて、各自の医療現場での経験をもとに活発な議論ができたと思います。一方で、臨床的な検討の部分では詰め切れなかった点もあり、今後はEBM能力の向上にも努めたいと感じました。
全国から集まった腫瘍内科志望の学生・研修医との交流も、大きな刺激となりました。身近に同じ志を持つ仲間が少ない環境にいる私にとって、同世代にこれほど優秀で熱意ある仲間がいると知り、焦りと同時に心強さを感じました。懇親会では、立場の異なる多くの方々と意見を交わし、自らのキャリアを改めて見つめ直す機会にもなりました。
最後に、このような貴重なセミナーを企画・運営し、キャリア相談にも真摯に応じてくださった先生方、そしてグループワークや懇親会でご一緒した皆さまに、心より御礼申し上げます。

秋田赤十字病院 初期研修医2年次
高橋 諒