医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー

■医学生・研修医のための
腫瘍内科セミナー(MOS2025 in Summer)報告

セミナー報告 Cグループ

「じいちゃん、俺に米作り教えてよ。」
盛夏の湖畔、私たちCグループは根治不能膵癌とともに生きる70歳の米農家の男性のCancer Journeyを紡ぎました。畑仕事や家族関係、季節の移り変わりといった日常の風景までも織り込みながら治療や療養について考える作業は、まるで一人の人生をまるごと受けとめるような、難しく、静かな覚悟を要するものでした。

 私がMOSに参加したのは、大学の腫瘍内科での実習を通して、ますます複雑化するEBMの最前線に立つ専門性、アカデミアとしてのクリエイティビティに魅了されたことがきっかけでした。

セミナー報告 Cグループ1
セミナー報告 Cグループ2

しかし、MOSではそれだけではない腫瘍内科の本質である、「がんとともに生きる人生を支える」という側面を学びました。診断から終末期に至るまで、患者さんは移ろいゆく非常に多様な苦悩と向き合い続けます。腫瘍内科医はそうした苦悩に寄り添いながら、専門性を駆使して「その人らしい時間」を守る存在なのだということが、MOSでの濃い2日間を通して鮮烈に印象に残りました。特にがん体験者の方のご講演では、医療者の些細なかかわり方ひとつが患者さんの支えにも、あるいは大きなプレッシャーにもなるということを深く痛感いたしました。

加えて複数のレクチャーや懇親会での楽しい時間を通して、市中病院・クリニック・行政・アカデミアといった腫瘍内科医の多様なキャリア・役割についてご教示いただきました。腫瘍内科医のキャリアは当初の想像よりもはるかに多様であり、自身の関心に応じて様々な方向で成長の道を切り拓けるということがMOSに参加して初めてわかりました。そのすべての先生方に共通するのは「がん患者さんのために」という一心であり、私たちも未熟ながらその信念を胸に歩んでいきたいと思います。
 MOSは、がん診療に携わることの意味を仲間と共に真正面から考え、腫瘍内科の未来を肌で実感する機会をくれました。今回のMOS運営に尽力くださいました高野利実先生をはじめとする皆様方に、末筆ながら深く御礼申し上げます。

セミナー報告 Cグループ3

 #MOS2025夏で知り合った志高き仲間たちや偉大な先輩医師の皆様と、いつか胸を張って共に働ける日を目指して、私も一歩ずつ成長を重ねていきます。

東北大学医学部6年
金子 仁太郎


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