■医学生・研修医のための
腫瘍内科セミナー(MOS2023 in Summer)報告
セミナー報告 Fグループ
私は腫瘍内科医を目指す内科専攻医である。本セミナーの趣旨が進路の定まらない研修医や学生に腫瘍内科を志す機会を与えるものであることは理解していたが、私自身このまま腫瘍内科の道でよいのかと悩んでいた。結果的に私はこのセミナーに参加して良かった。
セミナーでは「がんサバイバーシップの視点を入れた30代女性のcancer journey」を作るグループワークが与えられた。私以外は学生か初期研修医で、普段がん診療に携わらない彼らは何を考え、どんな発想をするのか興味深かった。というのも私が学生の頃は化学療法の進歩が専らの興味の対象であり、患者の行動学や心理への視点が乏しかったからだ。
我々の班は周術期乳癌の30歳女性のcancer journeyの中で、患者から医療者がどのように見えるかを検討した。この過程で、がんサバイバーの藤田さんの経験談が非常に参考になった。
藤田さんの話の中で、次々に出会うがん治療スタッフの誰に何を相談すべきか分からず、最後は誰にもなにも言えずに耐えるしかなかったとのエピソードがあった。そのエピソードから我々は普段意識しているはずのチーム医療が患者にとってのチーム医療ではないかもしれないと発想し、患者にとってのチーム医療を行うには、患者がなんでも相談できるようながん治療に総合的に習熟した医師が不可欠であると認識することができた。
本セミナーを終えて、私はその役目を果たせているだろうかと反芻しながら病棟業務をこなしている。具体的に何か行動を変えた訳では無いが、患者から私たちをチームとして認識してもらえているか意識するようになった。些細な意識の変化だが、今後の私の医師人生にとっては大きな収穫となったのではないかと思う。
最後に高野先生をはじめとするセミナーを主催してくださった先生方、グループのファシリテーターとして結城先生、津端先生、さらにはサバイバーの会の浦島さん、藤田さんに心から感謝申し上げます。とても熱い夏を琵琶湖で過ごせました!
浜の町病院 内科専攻医
草野 亘