医学生・研修医のための腫瘍内科セミナー

■医学生・研修医のための
腫瘍内科セミナー(MOS2024 in Summer)報告

セミナー報告 Dグループ

私は大学病院内での実習中に、武田真幸教授からご紹介をいただき、このセミナーを知りました。腫瘍内科医を志す者として、腫瘍内科医のキャリアパスや患者さんを中心とした医療について学びたいと考えました。また、同じ志を持つ医学生や研修医の方々との交流を通じて、自身の将来に役立てたいと思い、今回のセミナーに参加させていただきました。
 腫瘍内科医としてのキャリアパスについては、主に1日目のパネルディスカッションで学ぶことができました。開業医、PMDA、女性医師、市中病院の医師、アカデミアなど、さまざまな立場からの腫瘍内科のキャリアパスについて知ることができたのは大変有意義でした。特に、将来女性医師として働くことを考える私にとって、腫瘍内科では自分自身が望むライフワークバランスに沿った働き方を選べることが魅力の一つであると感じました。

セミナー報告 Dグループ1
セミナー報告 Dグループ2

また、患者さんを中心とした医療についてですが、2日目の藤田理代さんの講演では、ご自身が闘病中に経験された「言えない」「癒えない」という気持ちについてお話しいただきました。その中で医療者として心に留めておくべきだと感じたのは、医療の理想を基に声をかけるのではなく、まず患者の「今の気持ち」を聴き、今を肯定するところから始めるということです。本音はすぐに話せるものではありませんが、私たちが患者さんの考えを理解しようと寄り添う姿勢でいることは、「いえる環境」の助けとなるのではないかと思いました。

また、セミナー参加を通じて特に印象に残ったのは、2日間かけて行ったグループワークです。私たちのグループDでは、「AYA世代の根治可能ながん患者さん」という設定で、名前、本人のこれまでの人生経験や価値観、性格、職業、家族構成、抗がん剤終了後のサバイバーシップ、治療内容などをグループで決めました。同じ診断であっても年齢や性別、患者の価値観によって治療は異なります。例えば、今回私たちのグループのテーマの一つであった乳がんの切除術に対する整容面での患者さんの考え方は、そのようなカルテをただ眺めているだけではわからないような感情面まで考える機会となり、大変刺激的でした。このグループワークを通じて、がんを通じて「患者の人生を見る」ことの類似体験ができたように思います。

セミナー報告 Dグループ3

 最後に、セミナーを主催してくださった高野利実先生、武田真幸先生をはじめ、ファシリテーターの皆様、その他スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。お忙しい中、このような貴重な機会を提供していただき、誠にありがとうございました。 奈良県立医科大学 医学科5年生
水谷有沙


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