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2021年度 新専門医制度,専門研修施設説明会質疑応答内容
Q1.連携施設の基準として院内がん登録がありますが,これはがん診療連携拠点病院などが行っている専門的な診療管理士が行うような登録でしょうか。
施設でがん登録を実施していることが要件ではなく,各都道府県拠点病院や地域拠点病院が行っているがん登録に施設として「データを提供しているかどうか」ということが要件です。
Q2.連携施設の基準として「入院が常時20名以上」となっておりますが、現在がん薬物療法の多くは外来で実施されていると思います。20名以上の根拠と、今後見直しの可能性があるかについてご教授ください。
現専門医制度ができたときから認定施設基準に加えられている項目で、がん診療が充分に行われている施設であるかどうかを判断するために「入院が常時20名以上」という基準ができたのだと思われます。現時点では今後見直す予定はありません。
Q3.連携施設です。希望があった専攻医の研修開始は基幹病院の準備ができてからということになるのでしょうか?
基幹施設での準備は特になく,専攻医の研修開始申請を基幹施設が承認し,指導医のマッチング終了後に研修開始となります。
Q4.当院は2020年4月から連携施設の認定を受けましたが、新制度では2020年4月から2021年3月までに専攻医が経験した症例は登録できないのでしょうか?
当学会は連動研修が認められないため,内科基本研修プログラムを修了してからの研修開始となります。したがって,2020年度4月~2021年度3月までの症例は登録できません。
Q5.申請時に複数の専門医が同じ症例(特に希少疾患など)の病歴要約を作成して申請することは可能でしょうか(内科専攻医の場合には重なるのはダメだったかと思います)。
複数名で診た症例について病歴要約を提出することは問題ありません。ただ,内容がまったく同じである場合は流用とみなされることもあるため,各々が自身の考えで要約を作成することが重要と考えます。
Q6.専門医1名の連携施設です。旧制度では専門医のサインで試験を受験可能であるが、新制度では基幹施設の指導医の確認が必要と考えればよいですか?
現在は施設の指導医がサインをしてサマリーを承認していますが,新制度ではマッチングされた指導医がオスラー上で承認することになります。その指導医が基幹施設に在籍している必要はありません。
Q7.特別連携施設の設定は大変ありがたいと思います。この申請は施設の誰であっても可能でしょうか?
申請は基幹施設から学会事務局に申請してください。
Q8.外科や婦人科を基盤としている場合,どういうシステムに乗って専門医の受験資格を得たらよいのでしょうか。
学会認定専門医(現在の専門医)では外科や婦人科を基盤にして受験は可能ですが,現時点では新専門医制度へ移行後は内科専門医のプログラムを履修した方のみが受験可能となります。
Q9.日本外科学会を基本学会に追加される見通しについて教えてください。
学会として外科学会を基本学会に追加する方針とすることは決定していますが,実際に追加するまでにはしばらく時間を要する見込みです。
Q10.外科専門医を取った後、消化器外科あるいは乳腺外科専門医研修と並行して腫瘍内科専門医研修を受けることは可能ですか?
現時点では外科のプログラムは基本領域に入らないため,外科専門医を取得しただけでは専門医を受験することはできません。もし,外科のプログラムが基本領域になった場合でも,現行ではサブスペシャルティ領域研修を並行して行うことは認められておりません。ただ,サブスペシャルティ同士の症例の流用は可能になる想定です。
Q11.機構認定腫瘍内科専門医の受験には、基本領域が内科のみということですが、内科以外の基本領域の現在のがん薬物療法専門医が、更新をする場合にはどうなりますか?
学会専門医は基本領域が内科以外でも更新可能です。
Q12.基本領域の研修・病歴要約の共有はできないということは6年目以降の症例のみを経験した症例と登録することになりますでしょうか
当学会は連動研修が認められない領域であるため内科の基本領域プログラムで経験した症例は登録できません。よって,おっしゃる通り6年目以降の症例のみ登録いただくことになります。
Q13.5年過ぎてしまうと、腫瘍内科専攻医にはなれないのでしょうか。例えば、病気で休職する場合もあるかと思います。または、外科医から、事情により、腫瘍内科に転向したいといった場合もあるかと思います。
専門医機構の整備基準の中では,研修年限に上限を設けるように定められています。
ただ,特別な理由な場合に関しては別途細則を設けるなど学会で検討する予定です。
Q14.内科専門医の病歴要約は、指導医のやりとりのあとに、第三者による病歴評価がありますが、腫瘍内科専門医では第三者による病歴要約の評価はないということでよろしいでしょうか?
専攻医が作成した病歴要約は担当指導医による形成的指導などを受け個別評価・査読されます。研修修了認定の際に基幹施設のカリキュラム統括責任者がその評価・査読の責任を担います。修了認定後に日本臨床腫瘍学会査読委員会(専門医制度委員会専門医審査部会)が評価・査読します。
なお、腫瘍内科専門医に相応しいレベルに到達していない病歴要約については修正を求めることがあります。
Q15.基本領域専門医取得より前の症例がJSMO専門医の症例として登録できなくなるのは、何年度に医学部を卒業された医師となるかお聞きしたいと思います。新専門医制度の対象となる医師はすべて、内科の機構専門医取得以降の症例しか登録できないことになりますか?
旧制度では内科の機構専門医取得以前の症例も登録できますが,学会としては新制度で受験いただきたいと考えています。
Q16.基本領域専門医取得より前の症例が症例として登録できなくなるのは、何年度医学部卒業の医師からとなりますか?
基本研修2年,内科プログラム3年を終了した後から登録が可能となります。
Q17.現在の専攻医が旧専門医制度で専門医となることは可能なのでしょうか。2018年度より医師になったものが2020年度より専攻医となり2023年度より腫瘍内科専門研修となりますが、2025年度に旧専門医制度で受験可能の場合は2020年度から2022年度経験した症例も経験症例として病歴要約として使用できるのではないかと考えました。
現状では新専門医制度で内科を履修した専攻医には新専門医制度の専門医を受けてほしいというのが学会の意向ですが,連動研修ができないということもあるため,再度わかりやすい形で示すことにいたします。
Q18.今回の新専門医制度は、今年内科研修を修了する卒後4年目からの医師対象ということでよろしいでしょうか。
中堅医師(30歳代以降)が今後腫瘍内科専門医を取得する場合、新専門医制度に則って受験するのか、従来の形式で受験可能なのか、いかがでしょうか?
昨日のWEBでは今後は新専門医制度による受験に統一されるとのご発言があったと思いましたので、質問させていただきました。
2017年以前に初期臨床研修を開始している医師の場合は、新制度ではなく現制度(従来方式)で受験要件を満たすことが必要になります。専門医認定試験は、新制度、現制度に関わらず、同一試験問題を予定しています。現制度は、数年後(現時点では時期は未定、未公表であるが、説明会の図で示したように、約5年後ぐらいを想定)に終了する予定ですので、それまでに受験することが必要です。
Q19.他の連動型の専門医プラグラムと並行して研修を行うことは可能でしょうか?
例えば、呼吸器内科や血液内科と並行することは可能でしょうか?
1階部分との連動研修や症例のオーバーラップは認められておりません。
サブスペシャルティ同士については,症例のオーバーラップは認められておりますが,研修期間のオーバーラップは認められていないため,研修の時期を分ける必要があります。
Q20.以前、サブスペは2つまでしか取得できないとお話を聞いたことがあるのですが、サブスペは2つまで取得可能との理解でよろしいでしょうか?
現在の機構の細則では2つまでが限度とされています。ただ,複数学会から改訂の要望がだされているため,今後見直される可能性もあると考えます。
Q21.がんプロのインセンティブ(がんプロ事業における大学院医学博士課程の4年間は、臨床研修期間にカウントできる)はなくなるということになりますでしょうか。
新専門医制度においてはカリキュラムとして履修を始めたところから臨床研修期間となるため,がんプロを含める含めないは関係なくなります。
Q22.複数の研修施設で症例を持ち寄る場合,身分はどのようになるのでしょうか、その都度異動するのでしょうか?期間を区切って県内の研修施設を巡って症例をまとめていくということなのでしょうか?
専攻医が同一県内の研修施設に異動する場合は,基幹施設も指導医も変わらないようにしたいと考えています。県外に異動する場合は,基幹施設も指導医も変わるため,双方の基幹施設と学会において調整が必要になります。なお,カリキュラムの最終認定は専攻医が最後に所属した基幹施設が行います。
また,専攻医が研修施設に認定されていない施設に異動する場合は,その施設での研修は症例として認められないため,特別連携施設への申請など手続きが必要な場合もあります。
Q23.県内の基幹病院、あるいは連携病院で研修をしていた者が、本人の希望で県外の基幹病院、あるいは連携病院に移って研修をしたいと希望した時には、可能なのでしょうか。その際に評価された症例は移行することができるのでしょうか。
可能です。その場合は基幹施設が変わることになります。
Q24.同一県内に複数の基幹施設がある場合、基幹施設Aと連携している連携施設や特別連携施設の医師が、基幹施設Bで症例を経験したり、基幹施設Bの指導医に指導を受けたりすることは可能でしょうか?
同一県内で複数の基幹施設があり,専攻医の異動で基幹施設を変えたほうが良いと考えられる場合は変わる可能性があります。症例は研修施設であればどこの病院の症例でも使うことができます。
指導医については,同一県内の異動であれば基本的には変わることはないと想定しています。
Q25.県内で3大学が基幹施設ですが、各大学の医局の関連病院と、連携施設が交錯しております。例えば、A大学の医局所属の専攻医が、B大学の連携病院で研修を開始した場合、基幹施設はB大学になると思いますが、指導医はA大学の医師でも良いのでしょうか。その場合、A大学の指導医は、J-OSLEROncolを問題なく利用できるのでしょうか。
J-OSLER Oncolの運用では、基本的には専攻医が在籍している研修施設(基幹・連携施設)の指導医が優先的に担当することを想定しています。ただし、指導医が在籍していない特別連携施設に専攻医が在籍する場合や、在籍する指導医がすでに3人以上の専攻医を指導している場合、あるいは県内での専攻医の異動などの場合には、専攻医が在籍している施設以外の指導医が担当する場合があります。指導医であれば、施設外であってもJ-OSLER Oncolを利用できます。
Q26.A大学の医局所属の医師が、A大学籍中に専攻医登録を行って、同一県内のB大学の連携施設に異動した時、基幹病院はA大学からB大学に移ると思いますが、指導医はA大学の医師のままで良いでしょうか。逆に、指導医をB大学や連携病院の医師に変更するのも問題ないでしょうか。
同一県内で複数の基幹施設があり,専攻医の異動で基幹施設を変えたほうが良いと考えられる場合は変わる可能性があります。症例は研修施設であればどこの病院の症例でも使うことができます。指導医については,同一県内の異動であれば基本的には変わることはないと想定しています。
Q27.専攻医の研修期間の間に指導医が定年や退職、県外への移動などがあった場合は基幹病院が調整をするということでよいでしょうか?
基幹病院が調整することになります。
Q28.研修医師から、なんらかの理由(十分な研修が出来ない、或いは指導力不足、等々)で指導医を変更してほしい、という申し出が基幹施設にあった場合は可能なのでしょうか。
県内での研修におけるトラブルの一つと考えます。基幹施設が中心となって専攻医の申出を精査し,場合によっては指導医を変更するなどの対応が必要になるかもしれません。
Q29.基幹施設の専門研修管理委員会の構成員に規定はありますか?
規定はありませんが,県内の研修状況把握や終了認定する際に必要な人材(例えば県内の連携施設の研修責任者など)を構成員に入れることを推奨します。人数の規定もありません。基幹施設における統括責任者の責任において決めてください。
Q30.専門研修管理委員会は、基幹施設だけでなく各連携施設の先生方も含めて構成される委員会との理解でよろしいでしょうか?
専門研修管理委員会の構成は基幹施設に委ねます。”連携施設や特別連携施設の先生をメンバーに含める”,”基幹施設内だけで完結する”等,基幹施設で決定いただく予定です。ただ,基幹施設だけではなく関連している施設の先生をメンバーに含めたほうが望ましいとは考えています。
Q31.専門研修統括責任者は都道府県で1名と認定なっていますが、結構大変なタスクと予想されますが、認定方法および質の担保はどうされるのでしょうか?
県内に基幹施設が1つの場合は責任者は1名となります。基幹施設の重要な役割は県内の履修状況を把握,研修終了の確認と認定です。県内の研修の質を担保するために,指導者育成,カリキュラムの評価を実施し,質が落ちていると判断された場合は,制度の見直しを行う予定です。
Q32.マンツーマン指導という事ですが、指導医は複数の専攻医を受け持つ事はできますか?
1人の指導医は、すべての領域を含めて専攻医を3名まで受け持ち可能です。
Q33.指導医は3人までの専攻医を持つと伺いましたが、常勤医師のみが指導医としてカウント、登録されますでしょうか。週1日など非常勤医師(がん薬物療法専門医をもつ)は指導医としてカウントされますでしょうか。指導医側の規定についてです。
学会の指導医資格保有者であれば非常勤でも問題ありません。
Q34.指導医と専攻医とのマッチングはどのように行われますか?
専攻医からのカリキュラム受講申請が基幹病院で承認されると,J-OSLEROncol.上で専攻医の所属する都道府県に在籍している指導医とマッチングすることになります。
ただ,指導医の受持専攻医数は上限3名と定められており,また,専攻医が所属する施設の状況,都道府県の基幹施設数の関係で,専攻医の希望どおりに指導医のマッチングが行われる保証はなく,実際は専攻医の希望を加味した上で専門研修委員会により指導医が決定されます。
Q35.指導医の資格基準について教えてください。
1) 当学会の専⾨医取得後3 年以上経過し、専⾨医資格を1 回以上更新していること
2) 申請時において、がん治療に関する臨床及び研究活動を⾏い、がん薬物治療に関する⼗分な業績があること
3) 専⾨医育成のための業務を実施することが可能な環境にあること
4) 当学会主催の指導医講習会を修了すること
を満たし、日本臨床腫瘍学会から認定を受けることで指導医となります。
Q36.がん薬物療法指導医である場合は、指導医になれるのでしょうか?
新制度の専門研修施設に在籍する「がん薬物療法専門医」の先生方には、引き続き、新制度における指導医をお願いします。
Q37.指導医というのは日本臨床腫瘍学会の暫定指導医という資格の医師でも可能かどうか。
暫定指導医は制度廃止が決定しています。
新専門医制度では指導医としては認められません。
Q38.指導医の仕事は日々の診療の直接的な指導に加え,J-OSLEROncol.上の研修登録の確認,承認も生じるという認識で間違いないですか?
また,内科のJ-OSLERだと技能評価の項目がありますが,J-OSLEROncol.の場合もありますか?
指導医のお仕事としては,そのご認識で間違いありません。J-OSLEROncol.では、技術・技能評価をすることは想定していません。
Q39.ある時点から、がん薬物療法専門医から、腫瘍内科専門医に名称変更になる、という理解でよいでしょうか。
新専門医制度の専門医の名称が腫瘍内科専門医になることは理事会で承認されていますが,現在のがん薬物療法専門医の名称を腫瘍内科専門医と変更するかどうかは未定です。
Q40.J-OSLERのテスト公開はありますか?
テスト公開は実施する予定です。
Q41.本学会薬物療法専門医とがん治療認定医機構との関係性や連携性などについて新たな展開はありますか?
がん治療認定医と新専門医制度の専門医において,関連性,連携性はありません。
Q42.大学院にどこで行かせるかということが問題になる。このままいくと8~9年目ではなければ入れなくなるがどう考えているか?
サブスペシャルティの症例も獲得された後に,大学院に進んでいただくのか,基本領域の後にするのか,パターンが色々あるため,医局内での検討が必要と考えます。