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がん薬物療法専門医像
我が国では歴史的に、がんの発生臓器に関連する臓器別診療科のもとで、がん薬物療法が行われてきた。しかし、分子生物学や臨床腫瘍学の飛躍的な進歩により、異なる腫瘍の共通性が解明されるとともに専門的な知識や技能が必要とされる薬剤が臨床導入されたため、質の高いがん薬物療法を実践するためには、幅広い臓器のがん薬物療法を修得し実施することが必要である。そのため、臓器横断的にがん薬物療法を修得し、豊かな学識と高度な臨床技能を備えた専門医ががん薬物療法を実践することが期待されている。日本臨床腫瘍学会では、臨床腫瘍学の進歩に即して質の高いがん薬物療法を臓器横断的に実践できる医師を「がん薬物療法専門医」として認定する。
がん薬物療法専門医には、以下が求められる。
- 臨床腫瘍学を中心に、がんの基礎医学、臨床薬理学、緩和医療学を修得する。
- 臓器横断的にがん薬物療法を修得した上で、患者の病態や社会背景にも配慮した質の高いがん医療を実践する。
- 診療科・職種横断的チームのなかでリーダーシップを発揮する。
- がん治療に関するコンサルテーションやセカンドオピニオンに適切に対応する。
- 科学的な研究手法と論理的な思考を学んだうえで積極的に臨床試験を立案、推進、実践する。
- 人材育成と教育環境の整備に取り組むことにより、臨床腫瘍学の発展に貢献する。
日本臨床腫瘍学会では、認定研修施設での研修を修了した医師を対象に、書類審査、筆記試験および口頭試問によってその適格性を慎重に判断したうえで、上記のようながん薬物療法専門医を認定し、以てがんに対する治療成績の向上を図り、公共の福祉に貢献する。