プログラム概要
目的
本診療連携プログラムは、頭頸部がん患者に対する免疫チェックポイント阻害薬を始めとするがん薬物療法の適正使用のサポートとその結果として頭頸部がんの治療成績の向上を目的とするものです。特定の製薬企業や団体などの営利目的をサポートするものではありません。この目的を実行するため、日本頭頸部外科学会(JSHNS)及び
日本口腔外科学会(JSOMS)と日本臨床腫瘍学会(JSMO)では 診療連携に係る協定を締結し、全国9地区に各学会のエリアリーダーを制定しました。本診療連携プログラムに賛同・協力する全ての医師は、このエリアリーダーのもと、以下2つの内容に取り組みます。
内容
【1】免疫チェックポイント阻害薬に係るチーム医療体制の
構築と適正使用の推進
頭頸部がん患者の紹介元医師・歯科医師(耳鼻咽喉科・頭頸部外科医、歯科・口腔外科医など)と連携協力医師(全国の連携基幹病院(後述)に所属するがん薬物療法専門医※)との診療連携を通じて、免疫チェックポイント阻害薬を始めとするがん薬物療法の適正使用とチーム医療体制の構築を推進し、頭頸部がん患者の治療成績向上を図ります。
※がん薬物療法専門医とは?…日本臨床腫瘍学会(JSMO)が認定する、質の高いがん薬物療法を実現するための幅広い臓器のがん薬物療法の知識と技術を持った専門医です。
診療連携の方法
想定される診療連携の方法は大きく2つに分類されます。
- 1)患者紹介:連携基幹病院に所属するがん薬物療法専門医による薬物治療
- 2)コンサルテーション:
紹介元医師・歯科医師(耳鼻咽喉科・頭頸部外科医、歯科・口腔外科医など)からの
相談に応じて薬物治療をサポートする
いずれの場合でも、必要に応じて「紹介元医師・歯科医師(耳鼻咽喉科・頭頸部外科医、歯科・口腔外科医など)」と「連携基幹病院に所属するがん薬物療法専門医」の双方が併診して治療にあたり※、各医療機関の方法を用いて記録の残る形で診療します。また、本診療連携プログラムの枠組みで行われた診療は、オンラインによる患者登録によって記録され、各協力学会のエリアリーダーへの定期的なフィードバックを行うことで、改善を試みます。
※実際の診療は、各医師の裁量と責任のもとで行われます。本プログラムは、診療内容について関連学会が具体的な診療内容に介入するものではなく、またその責任を負うものでもありません。
1)患者紹介:連携基幹病院に所属するがん薬物療法専門医による薬物治療
2)コンサルテーション:
紹介元医師・歯科医師(耳鼻咽喉科・頭頸部外科医、歯科・口腔外科医など)
からの相談に応じて薬物治療をサポートする
【2】地域における頭頸部がん治療に関する教育事業の推進
全国9地区の各学会エリアリーダーの指導のもと、紹介元医師・歯科医師(耳鼻科・頭頸部外科医、歯科口腔外科医など)とがん薬物療法専門医を対象とした教育事業(地区セミナー、勉強会など)を計画し、実行します。教育事業は、がん薬物療法に関することだけでなく外科的治療や口腔ケアをはじめとする支持療法などに関する情報交換を行うことを予定しています。これを行うことで専門職種間の相互理解を深め、頭頸部がん診療の質を向上させることで、より良いがん治療を患者に届けられることを目的としています。
本診療連携プログラムにおける連携基幹病院とは?
免疫チェックポイント阻害薬を使用して患者の診療にあたる医師および施設は、時に生じる免疫関連有害事象などが発現した場合に適切な対応が求められます。このため、厚生労働省は2017年3月に“最適使用推進ガイドライン ニボルマブ(遺伝子組換え)~頭頸部癌~”を発出し、免疫チェックポイント阻害薬を使用して診療にあたる医師・歯科医師および施設に対する留意事項を取りまとめました。本診療連携プログラムでは、このガイドラインをもとに、免疫チェックポイント阻害薬を始めとする頭頸部がんに対する薬物療法を適正に使用することを促進するために中心的な役割を果たす施設を「連携基幹病院」※とし、以下のように定義いたしました。
※「連携基幹病院」に所属する本診療連携プログラムに協力するがん薬物療法専門医を「連携協力医師」と呼称させていただきます。
※「連携基幹病院」にご紹介・コンサルテーションしてくださる施設は全て「連携病院」と呼称させていただきます。
連携基幹病院の定義:
①と②の施設要件に該当し、3つの診療要件すべてを満たす施設
<施設要件>
①以下のいずれかであること
<診療要件>
- 1. 緊急時の対応や有害事象に対する速やかな処置が可能
- 2. 連携病院からの患者紹介や相談に対応可能
- 3. 連携病院からの紹介患者のがん薬物療法を行う
※上記の定義を満たさないが連携基幹病院としての診療体制が整っている場合には、エリアリーダーの推薦を基に「連携基幹病院」とすることを考慮します。